LT1166による電流源駆動MOSFETアンプの位相補償その2

IRF530N, IRF9530Nを用いた、LT1166によるMOSFETアンプの位相補償をまとめておきます。

こちらのリンクが参考になります。

良く使われる回路での高域特性限界: 4、フォロワ型アンプ出力段 (ダーリントンの有無)

電流源駆動MOSFETアンプの回路図

出力オフセットを安定させるために定数を一部見直しました。

まずLT1166の補償容量を100pFから10pFに変更しています。

また、ゲートドレインゾーベルの抵抗値を100Ωから220Ωに変更しています。

出力電圧(D)のゲイン位相図

定数変更後の、出力電圧(D)の位相余裕とゲイン余裕は次のようになります。
PM=75deg@1.8MHz, GM=-21dB@26MHz

定電流源を変調するオペアンプ(LT1360)のゼロ周波数が15MHz付近にあるのと、ゲートドレインゾーベルのカットオフ周波数が3.3MHzなので、20-30MHzに変曲点が現れます。

LT1166による電流源駆動MOSFETアンプの位相補償

IRF530N, IRF9530Nを用いた、LT1166によるMOSFETアンプの位相補償をまとめておきます。

こちらのリンクが参考になります。

良く使われる回路での高域特性限界: 4、フォロワ型アンプ出力段 (ダーリントンの有無)

電流源駆動MOSFETアンプの回路図

最終的な、LTSpiceによる回路図をしめします。

3段ダーリントンBJTアンプとほぼ同じですが、調整した箇所があります。

まず、電流源のエミッタ抵抗を68Ωにして、LT1166のItop/Ibottomを22mAに設定します。これで、矩形波の大信号入力時にもItop/Ibottom>4mAとなります。

1.5V, 10kHz矩形波信号入力時のItop/Ibottom

次にバイアス回路(LT1166)の補償容量を100pF, 出力段(MOSFET)のゲート抵抗を100Ω、ゲートドレインゾーベルを100Ω, 220pFにそれぞれ設定します。

出力電圧(D)のゲイン位相図

出力の位相余裕とゲイン余裕は次のようになります。
PM=69deg@1.9MHz, GM=-23dB@18MHz

なお、MOSFETの入力容量(Ciss)とフォワードトランスコンダクタンス(gfs)は以下の通りです。

IRF530: 920pF, 12S

IRF9530: 760pF, 3.2S

コンプリメンタリとはいってもかなり特性に違いがあります。

電流源駆動MOSFETアンプ

実際に試作してみましたが、音質としてはBJTアンプよりもやや太い感じです。

もちろん、ブートストラップ電源と出力段のバイパスコンデンサの違いによる影響もありますが。

部品数が3段ダーリントンBJTアンプよりも少ないので、こちらの方が手軽に製作できます。

LT1166による3段ダーリントンBJTアンプの位相補償その2

2N5551, 2N5401, TTC004B, TTA004B, TTC5200, TTA1943を用いた、LT1166による3段ダーリントン(Triple)BJTアンプの位相補償をまとめておきます。

こちらのリンクが参考になります。

良く使われる回路での高域特性限界: 4、フォロワ型アンプ出力段 (ダーリントンの有無)

3段ダーリントンBJTアンプの回路図

最終的な、LTSpiceによる回路図をしめします。

まず、ドミナントポールを決める入力および増幅段の差動増幅回路(LT1360, Av=27dB)のCMRRの補償容量を5pFにしてfc=88kHzとなります。

次に、フィードフォワードを決める積分回路(LT1363)をfc(1kΩ, 220pF)=720kHzとしています。この入力抵抗の値はVosに影響するようです。

無信号入力時の出力電圧(700uV)

最後にバイアス回路(LT1166)の補償容量を330pFとして、セカンドポールを26MHzとしています。

出力電圧(D)のゲイン位相図

出力の位相余裕とゲイン余裕は次のようになります。
PM: 81deg@2.0MHz
GM: -16dB@14MHz

LT1166による3段ダーリントンBJTアンプの発振対策その2

2N5551, 2N5401, TTC004B, TTA004B, TTC5200, TTA1943を用いた、LT1166による3段ダーリントン(Triple)BJTアンプの発振対策をまとめておきます。

3段ダーリントンBJTアンプの回路図

まず、LTSpiceによる回路図をしめします。

以前はプリドライバ段、ドライバ段、パワー段に1Ωのベースストッパーを入れていましたが、最終的にパワー段にだけベースストッパーとして1Ωを入れています。

次に、電源レールのデカップリングとして、ドライバ段のコレクタにfc(1Ω, 0.1uF)=1.6MHz、プリドライバ段のコレクタに10Ωを入れています。

最後に、ベースコレクタゾーベルとして、fc(47Ω, 220pF)=15MHzをパワー段のベースコレクタ間に入れています。

ここで、プリドライバ段、ドライバ段、パワー段のfT(トランジション周波数)とCob(コレクタ出力容量)は以下のとおりです。

BJT(fT(MHz), Cob(pF)) =
2N5551(300, 6.0)
2N5401(400, 6.0)
TTC004B(100, 12)
TTA004B(100, 17)
TTC5200(30, 145)
TTA1943(30, 240)

コンプリメンタリBJTとはいっても、特性差は顕著で、パワー段のコレクタ出力容量が支配的になります。

以下に出力(パワー段のエミッタ抵抗の合流地点)の過渡解析によるFFTをしめします。

無信号入力時のパワー段の出力電圧の周波数特性

無信号時は-200dB以下のノイズフロアとなっています。

65mV正弦波入力時のパワー段の出力電圧の周波数特性

小信号入力時でもSNは120dBあります。

LT1166のクローズドループのユニティゲイン周波数が1.3MHz低度なので、このような折り返しノイズになるようです。

また、BJTの出力容量に起因するピークが顕著に現れます。

1.5V正弦波入力時のパワー段の出力電圧の周波数特性

大信号入力時でもSNは120dBあります。

奇数次の高調波が顕著に現れます。