パワーMOSFETの短絡故障と出力オフセット

保護回路が入っていても検知できない原因で安全動作領域(SOA)を越えたり、

ゲートストッパーやゲートゾーベルでは防げない寄生発振などが起こることにより、

出力段のパワーMOSFETが短絡故障することは珍しくありません。

 

そこでGaN MOSFETアンプ(LT1166を用いた準コンプリメンタリSEPP)の

出力段の上側および下側のパワーMOSFETのドレインとソース間、

それぞれが短絡故障した場合の動作をLTspiceでシミュレートしてみました。

 

グラフはそれぞれ、
緑:出力電圧、
青:上側の出力電流、
赤:下側の出力電流です。

図1.出力段の上側のMOSFETのDS間を短絡した場合の過渡解析

図2.出力段の下側のMOSFETのDS間を短絡した場合の過渡解析

 

現象としては、LT1166の電流制限により、
45us程度の間隔でパルス上の短絡電流が流れて、
出力オフセット電圧がそれぞれ短絡した側の

電源レールの電圧に近い値となります。

 

上側の故障時の方が電流が大きいため、

MOSFETの温度が上がりますが、

下側の故障時の方は電流が小さいため、

MOSFETの温度はあまり上がりません。

 

というわけで、故障原因の対策後に、

出力オフセット電圧の出ている方のMOSFETを交換するのが良さそうです。